
《君の名は》
♂:立花瀧(たちばなたき)
♀:宮水三葉(みやみずみつは)
♀:お婆ちゃん・紫文字----(人が足りない場合は、三葉兼)
「…」内台詞混响
「誰そ彼(たそかれ)と われをな問ひそ 九月(ながつき)の 露に濡(ぬ)れつつ 君待つわれそ」
「夕方、昼でも夜でもない時間。人の輪郭(りんかく)がぼやけて、彼が誰かわからなくなる時間。人ならざるものに出会うかもしれない時間。魔物(まもの)や死者に出くわすから『逢魔(おうま)が時』なんていう言葉もあるけれど、もっと古くは、『かれたそ時』とか『かはたれ時』とか言ったそうです。」
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「スタート」
「黄昏(たそがれ)時:夕方、昼でも夜でもない時間。世界の輪郭(りんかく)がぼやけて、人ならざるものに出会うかもしれない時間。」
三葉:朝、目が覚めるとなぜか泣いている。そういうことが時々ある。
瀧:見ていたはずの夢は、いつも思い出せない。 ただ…
三葉:ただ、何かが消えてしまったという感覚だけが、目覚めてからも長く残る。
『千二百年に一度という彗星の来訪が、いよいよひと月後に迫(せま)っています。彗星は数日間にわたって肉眼(にくがん)でも観測(かんそく)できると見られており、世紀の天体ショーを目前に、JAXAをはじめとした世界中の研究機関は観測のための準備に追われています。』
(階段上る音)
瀧&三葉:はあーーーー
瀧&三葉:もしかしてー
瀧:俺は夢の中でこの女とー
三葉:私は夢の中であの男の子とー
瀧&三葉:入れ替わってる?!
三葉:何か起きているのかだんだんわかってきた。瀧くんは、東京に住む同じ歳の高校生で
瀧:ド田舎暮らしの三葉との入れ替わりは不定期で、週に二、三度、ふいに訪れる。トリガーは眠ること、原因は不明。
三葉:入れ替わっていた時の記憶は、目覚めるとすぐに不鮮明になってしまう。まるで明晰(めいせき)な夢を見ていた直後みたいに。
瀧:それでも、俺たちは確かに入れ替わっている。何よりも周囲の反応がそれを証明している。
三葉:そして、これは入れ替わりの体験なんだと意識するようになってからは、夢の記憶も少しずつキープできるようになってきた。例えば今では目覚めている時間でも、瀧くんという男の子が東京にくらしているんだと、私には分かっている。
瀧:どこかの田舎町に三葉という女が暮らしているのだと、今では僕は確信している。理由も理屈も分からないが、妙な実感がある。
三葉:そして私たちは、お互いにコミュニケーションを始めた。入れ替わった日は、スマフォに日記やメモを残し合うという方法で。
瀧:俺たちにはお互いの生活を守ることが必要なのだ。だから、俺たちはルールを決めだ。
〈瀧くん、禁止事項その1〉
お風呂絶対禁止
体は見ない・触らない
座ると脚をかけないように
テッシーと必要以上に仲良くしないで。彼は沙耶(サヤ)ちゃんとくっつけるべき