
剧本角色

王子
男,0岁
遠い星からやってきた小さな男の子。可愛らしくしゃべる。

キツネ
女,0岁
無邪気だけど、どこか達観しているキツネ。

ヘビ
男,0岁
哲学的な口調のヘビ。

N
男,0岁
ナレーション。
星の王子さま
LE PETIT PRINCE
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
Antoine de Saint-Exupery
N:王子が地球に降り立った場所は、砂漠だった。そして、人っ子ひとり見当たらないことに随分びっくりしたのだそうだ。
王子:「ひょっとして、違う星に来ちゃったのかな……」
N:心配になったその時、月色をしたリングが砂の中でうごめいた。
ヘビ:「やあ、今晩は」
王子:「こんばんは。ここは、何ていう星?」
ヘビ:「地球だ。ここはアフリカだよ」
王子:「よかった! ……だったら、ちきゅうには人はいないの?」
ヘビ:「ここは砂漠だからな。砂漠に住む人間はいない。地球は大きいからね。君は、どこからきたんだね?」
王子:「えっとね、ちょうどぼくたちの真上にある……あの星。でもすっごく遠いんだ」
ヘビ:「ほう、美しい星だ」
王子:「……ぼく、思うんだけどさ。お星さまがキラキラするのって、みんながじぶんの星を見つけられるようにするためじゃないのかな」
ヘビ:「面白いことを言うな。……ところで、君は、ここへは何をしに?」
王子:「ぼくね、お花とちょっといろいろあってさ。自分の星を出たくなったんだ」
ヘビ:「ふむ」
王子:「君っておもしろいね。ゆびみたいに細くってさ……」
ヘビ:「だが王の指などよりもずっと強いぞ」
王子:「そんなわけないよ、足だってないじゃない……。旅をすることもできないね」
ヘビ:「だが船を使うよりもさらに遠くへと、君を連れて行くことが出来るぞ」
N: ヘビはそう言うと、小さな王子のくるぶしに巻きついた。まるで金のブレスレットのようだった。
ヘビ:「私は触れたもの全てを、母なる大地に還すことができる。だが君は他の星からやって来たのだから……」
王子:「……」
ヘビ:「君があわれだ……。この冷たい星で、こんなにも小さな君が。もしも故郷があまりに恋しくなった時は、助けてあげられるぜ……私が」
王子:「そう、覚えておくよ」
ヘビ:「うむ」
王子:「ねえ、どうしてそんな謎めいたことばかり言うの?」