
剧本角色

王子
男,0岁
遠い星からやってきた小さな男の子。可愛らしくしゃべる。

バラ
女,0岁
うぬぼれ屋さんであまのじゃくな女性。

N
男,0岁
ナレーション。(

学者
男,0岁
お年寄り。偉そうにしゃべる。
星の王子さま
LE PETIT PRINCE
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
Antoine de Saint-Exupery
王子:「うん……。あのね、昔、ぼくの星にね。見たことのない花が芽を出したんだ」
N:その花は、どこか違う星からタネの状態でやってきて、そして咲くまでにとても時間がかかったそうだ。おしゃれな花だったから、くしゃくしゃの姿では顔を出したくなかったんだ。ゆっくりと時間をかけて、一枚一枚花びらを整えていった。そしてある朝、まさに日の出とともに彼女は姿を現した。
バラ:「ふわあ……。あら、失礼、たった今目が覚めたところなの。嫌だわ、まだ髪がくしゃくしゃね……」
王子:「わあ……!なんて綺麗なんだ」
バラ:「ふふっ。でしょう?私はバラの花だもの。それにね、お日様と一緒に生まれてきたのよ」
王子:「(……。見た目は綺麗だけど、性格はそうじゃないのかな……)」
バラ:「ねえ、そろそろ朝ごはんの時間じゃないかしら?私にも何か用意してくださらない?」
王子:「う、うん。じゃあお水をあげるよ。えっと、じょうろは……」
N:こうして王子様は、毎日彼女のお世話をするようになった。その1本のバラの輝きと素敵な香りは、小さな王子様の星を、とても華やかなものにしてくれたそうだ。
N:しかし彼女は、少し見栄っ張りな性格だったので、しょっちゅう気難しいことを言っては彼を困らせてしまった。
バラ:「私にはトゲがあるから、ツメをたてたトラが来たって、平気なのよ」
王子:「トラなんて、ぼくの星にはいないよ?それにトラは草を食べないし……」
バラ:「私、草じゃありません!」
王子:「あ、ごめん……」
バラ:「トラはちっとも怖くないけれど、風がとても怖いの。ついたてはないかしら?」
王子:「風が怖い……?植物なのに風がきらいだなんて、気の毒に。ついたてを持ってくればいいんだね」
バラ:「それとね、夜はガラスケースをかぶせてほしいの。あなたのおうちってとても寒いわ。きっと星の位置が悪いのね。私が前にいたところは……」
王子:「え?前にいたところって……ここで育ったのに……?」
バラ:「……お、おほん、おほん」